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味噌の知識

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味噌が基本

味噌の歴史

味噌は古代中国から伝わった醤(ひしお)が起源だと言われています。
醤とは、肉や魚などをつぶして麹と塩と酒を混ぜて漬け込み、熟成させて作る調味料のこと。味噌はその醤を作る途中のもの、つまり未醤(みしょう)が発展し「みそ」になったと伝わっています。味噌が文字として初めて記されたのは平安時代のようです。そして、鎌倉時代には、大豆の粒を残したままで食べていた「みそ汁」の大豆を、すりつぶすようになりました。これが調味料として使われ始め、今のみそ汁の形になったと言われています。
鎌倉武士の食事「一汁一菜」は、玄米でカロリー・干物からカルシウムとたんぱく質・味噌で栄養を補給するという理にかなった食事法でした。これは日本人の食の基本となりその後も長く受け継がれました。
室町時代には、味噌料理の発展基盤ができ、今に伝わる味噌料理のほとんどが作られるようになりました。戦国時代になると、栄養源の味噌は必需品となり、醸造法がさらに発達し、江戸時代には、庶民が「手前みそ」を醸造するようになり、味噌を基本とした食生活が庶民の中にも確立されました。
このようにどの時代にも味噌は欠かせない調味料であり、栄養源でした。まさに日本の食生活を支えてきた大切な存在だったと言えます。

味噌の効用

江戸時代のことわざに、「医者に金を払うよりも、みそ屋に払え」というものがあります。「本朝食鑑」(1695)によれば、味噌は「一日もなくてはならないもの」であり「血を生かして百薬の毒を消す」「消化をよくし閉塞を防ぐ」「元気をつけて、血のめぐりをよくする」などの効果があると伝えています。
このように昔から健康を保つための栄養素として重宝されていた味噌。今ではさらに研究が進められ、現代の食生活に欠かせない効用がたくさんあることが分かってきました。

味噌は栄養の宝庫

栄養豊富な大豆は、発酵することでさらに栄養価が高まります。味噌には生命の維持に不可欠なすべての必須アミノ酸8種類と、ビタミン・カリウム・カルシウム・鉄などの豊富な栄養成分が含まれています。

消化吸収されやすい

消化吸収がされにくい大豆のたんぱく質も、味噌になると酵素によって加水分解されて約60%が水分に溶け、約30%がアミノ酸になるため、消化吸収されやすくなります。

コレステロールの上昇を抑える

味噌の原料である大豆に含まれるリノール酸と大豆レシチンには血中コレステロールの上昇を抑える効果があると言われています。

血圧の上昇を抑える

味噌には、高血圧防止ペプチドが含まれ、血圧を下げる効果があることが発見されました。

糖尿病の予防に効果

味噌に含まれるメラノイジンには、食後の血糖値の上昇を抑える働きがあり、糖尿病予防にも効果があることが期待されています。

味噌の塩分は30%の減塩効果

同じ食塩量でも、味噌からの摂取は30%の減塩効果があることが分かってきました。
みそ汁は塩分の摂り過ぎになると思われがちですが、問題なのはナトリウムの摂取。
具材としてカリウムを含む野菜などを組み合わせれば、ナトリウムの摂取を抑えられます。

放射性物質から体を守る作用

長崎に原爆が投下された際、味噌汁を飲んでいた人に原爆症が発症しなかったことが報告され、マウスによる実験で検証したところ熟成期間の長い味噌ほど効果が高いことがわかりました。

味噌の分類

麹による分類
米味噌とは大豆に米麹を加えて作ったもの、麦味噌とは大豆に麦麹を加えて作ったもの、
豆味噌は大豆を麹にして大豆のみで作ったものです。
米、麦、大豆
味による分類
味噌の味は食塩の量と麹歩合によって大きく変わります。麹歩合とは使用する大豆に対する米麹や麦麹の分量比のことで、塩分が一定ならば麹歩合が高いほど麹の使用量が多く甘口になります。
色による分類
味噌は熟成期間が短いと白く、長くなると褐色(赤色)になります。発酵によって作られた糖とアミノ酸が反応して起こるメイラード反応(褐変反応)というものです。
熟成期間

味噌の保存

発酵を抑えるには冷蔵庫で保存をしてください。さらに、冷凍庫に入れると保存性がよりアップします。家庭用の冷凍庫(-20℃)では味噌は凍らず、長期品質保持が可能です。
開封後は味噌の表面にラップを貼り付けて、空気に触れないようにすると、着色や乾燥を防ぎ、より長く味噌本来の風味をお楽しみいただけます。ただ、味噌の特性として熟成が進むことで、色は次第に濃く(褐変)なっていきますが、そのまま召し上がっていただけます。気温の上昇などによる極度の褐変は風味を損ないますので、漬け物用などにお使いいただくことをおすすめします。

今まで、味噌に病原菌が混入して食中毒を起こしたという症例は報告されていません。
味噌の中では病原性大腸菌O157は増殖できないことも実験で分かっています。味噌は保存に適した食材と言えます。

参考資料:みそ健康づくり委員会

五百春

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